土鍋を知る
土鍋とIHの”いいとこ取り”
「かまど炊きごはん」のおいしさを再現する「土鍋IHジャー炊飯器」。
夢をカタチにするため、取り組みが本格化しました。
土鍋釜は、魅力を数多くそなえていました。グループインタビューでは、おいしさへの期待はもちろん「見た目にもおいしそう」、「土鍋が使えるなんてすごい」、「大切に扱いたくなる」など、これまでの炊飯器では少なかった「イメージによる感動」を強く伝えられることがわかったのです。
また、ごはん炊き用の土鍋とは違い、火を扱うことへの心配や火加減の難しさ、予約ができない不便さなどもIHジャー炊飯器なら解決できるはずでした。
誰でもいつでも、最高の「土鍋ごはん」が味わえる。自然の素材である「土鍋」と、機器で制御する「IHジャー炊飯器」とを”いいとこ取り”すれば、まさに夢のような製品ができるのは間違いない。
しかし、技術開発は困難を極めました。
自然素材だからこそ”土”の壁
そもそも、IHジャー炊飯器に土鍋を採用しようという発想自体が非常識でした。金属素材とは異なり、土素材のままではIH加熱できません。別の画期的な方法で、土鍋釜を発熱させる仕組みづくりに迫られたのです。
また、土鍋釜そのものにも問題がありました。IHジャー炊飯器に搭載するためには、ミリ単位で誤差のない厳密な寸法調整が不可欠。さらに、製品として可能なかぎり「割れにくい」加工が求められます。そのうえ、千台単位で大量生産できる工場も必要でしょう。
画期的なものづくりを一から
これらの問題をすべて解決できたとしても、土鍋ならではのおいしいごはんを炊きあげるためには、「炊飯プログラム」を再構築しなければなりません。これまでの金属釜とは異なり、熱を溜め込む性質を持つ土鍋釜を扱うのは初めてのこと。テストを繰り返し、プログラムを一からつくり替える必要があったのです。
まだ誰も見たことがない「土鍋IHジャー炊飯器」。その開発は、不可能を可能にする挑戦の連続でした。