土鍋を知る
理想のおいしさを求めて
きっかけは、土鍋ごはんとの出会いでした。
理想のおいしさを求めて、新しいIHジャー炊飯器の検討を重ねていたある日のことです。デパートなどに並んでいるごはん炊き用の土鍋を見つけて、「試しに炊いてみよう」と。
当時はまだ鍋物のイメージが強かった土鍋ですが、一部のこだわりある人たちの間で、ごはんを炊くことがブームになり始めていました。
おいしさの原点は土にあった
お米と水を入れ、直火にかけて炊飯するという、いたってシンプルなやり方。これだけで、いったいどの程度のごはんが炊けるのだろう。
期待と不安が入りまじる思いで、鍋をのぞき込みます。
フタを開けた瞬間、衝撃を受けました。湯気とともに香り立つ、甘さと香ばしさ。ツヤのあるふっくらとしたごはんの粒。鍋底にうっすらと付いたおこげ……。
ごはんの原点である「かまど炊きごはん」のおいしさと感動が、そこにあったからです。
夢は「かまど炊きの再現」
タイガーでは、「かまど炊きごはん」のおいしさを目指して、IHジャー炊飯器の開発を続けていました。
薪(まき)で一気に炊きあげる強い火力と、熱をしっかり溜め込む土壁の蓄熱性。この2つこそが、お米の甘みを引き出して、ふっくらおいしく炊きあげる秘訣だと考えたからです。
土鍋もまた、同じメカニズムで炊飯していました。
特に、土素材の器が熱を溜め込み、強い火力を継続してお米に伝える仕組みは「かまどの再現」に他なりません。
なにより、土で炊くごはんからは、自然のぬくもりと喜びが感じられました。
土鍋をIHジャー炊飯器の内釜に使えば、「かまど炊きごはん」が再現できる。しかも火を使わずに、ボタンひとつで、誰でも簡単に炊きあげられる。
これこそが新しいIHジャー炊飯器への夢となり、開発がスタートしたのです。