真空断熱技術
優れた「真空・断熱技術」「加熱・貯湯技術」「保温・保冷技術」で省エネ、
環境、使い勝手の良さ等の向上をソリューションします。
なぜ魔法瓶は保温、保冷効果が高い?
熱が移動することを「熱伝達」と呼びます。
熱伝達には、「熱伝導」、「対流」、「放射(輻射)」の3つのタイプがあり、魔法瓶断熱はこれらの熱伝達を遮断する技術です。
温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままを維持する魔法瓶は、行楽などに出かける際に温かいお茶やスープ、氷水などを入れて持ち運びできる瓶として100年前から世界中の人々に愛用され続けています。
熱伝導を防ぐ
物体の一部を加熱すると、加熱部分の分子の運動が激しくなります。
これらの分子が衝突する時、エネルギーの低い分子はエネルギーの高い分子からエネルギーを獲得します。つまりエネルギーの高い分子集団からエネルギーの低い分子集団へと熱が伝達されます。これを「熱伝導」と呼び、物体がどれ位よく熱を伝導するかを表す数値を「熱伝導率」と呼びます。
真空の場合、空気の分子が存在しないので熱伝導はありません。
JISで定義された真空は「大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態」なので、微量に分子は存在していますが、熱伝導はほとんどゼロとなります。
対流を防ぐ
加熱された物質が流動することで、熱伝達される現象を「対流」と呼びます。
空気が加熱されると、その部分が膨張し密度が低くなります。周囲よりも密度が低くなった部分は浮力の作用により浮き上がります。加熱されて浮き上がった部分は熱伝導によって熱を周囲に伝えます。
例えば、部屋を暖房する時、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まります。部屋の中を扇風機などで強制循環してやれば部屋全体を効率よく暖めることができます。
しかし、室内の中に空気がなければ、暖かい空気層や冷たい空気層が存在しません。
真空の場合、空気が存在しないので、対流はありません。
対流現象は浮力が原因で起こる現象です。気体が存在しない真空中では対流はゼロとなります。
放射(輻射)を防ぐ
熱エネルギーが電磁放射(輻射)によって伝達される現象を「放射(輻射)」と呼びます。
宇宙では真空ですが、太陽の熱は地球にとどきます。これは熱が赤外線などの電磁波によって伝わるからです。地球は、太陽からの放射によって暖められて生命活動や気象現象を起こしています。
放射は、真空の空間を媒体にしても熱エネルギーを伝えます。
太陽の熱が地球に届くように、放射は真空を通しても熱エネルギーは伝わります。
そのため魔法瓶では、内面に鏡面加工を施したり、真空層に銅箔を挟み込むなどをして熱放射を反射させて熱エネルギーを内部に保つようにしています。
湯沸かし後、8時間後の比較
内部の熱が外部へ逃げているため表面温度が高くなる
(=お湯が冷めている)
断熱されほとんど放熱は見られない
電気ポットでの平均保温時消費電力の比較
(90℃保温時、室温20℃)
断熱材なしの 電気ポット |
真空断熱の 電気ポット |
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44W (PDR-G301) |
9W (PIG-S300) |
主流はステンレス製魔法瓶
魔法瓶にはガラス製とステンレス製の2種がありますが、現在はステンレス製が主流となっています。
これは、落としても割れない、軽量、コンパクト、大容量化が可能、その他コストダウンや他産業への応用が効くことによるものです。
また、ステンレス製魔法瓶は10-3Paの「高真空」と呼ばれる、地上高度90〜250km相当の真空度で、これにより安定した保温、保冷効果を発揮することができます。
真空二重層の圧力と保温効力
魔法瓶に95℃のお湯を入れ24時間後の湯温を測定しています。(室温20℃)
ステンレス魔法瓶は、安定した保温性を確保できるように、10-3Paの高真空を保持しています。
タイガー魔法瓶では、10-4Paの高真空炉内(連続自動真空装置)でステンレス製魔法瓶を製造しています。
真空ろう付け方式
薄く軽く、しかも強度の高い製品を
タイガー魔法瓶では、「連続自動真空装置」にて「真空ろう付け方式」でステンレス製魔法瓶を製造しています。
約500℃、10-4Paの高真空炉内(連続自動真空装置)に多数の魔法瓶を入れ、真空排気を行いながら、ガラスのろう材を溶かして排気口を完全密封します(真空ろう付け方式)。
以前は金属のろう材を使用していましたが、ガラスのろう材にすることで低温処理が可能となり、高温のステンレス材を焼鈍(焼きなまし)処理する時間も短縮されました。これにより、薄く軽く、しかも強度の高い製品が製造できるようになりました。
真空ジャケット
高い断熱効果を発揮する
真空ジャケットとは、ステンレス製魔法瓶の製造技術を応用した筒型のステンレス真空断熱カバー。
製品や設備の部品として、保温・保冷・遮熱などの断熱効果が期待できるとともに、製品の外観にもそのままご利用いただけます。排気口も「真空ろう付け方式」を採用していますので邪魔になりません。
厚さはグラスウールの1/20以下、硬質ウレタンフォームの1/10以下(約3~4mm)。
温水・冷水タンクの高温部、低温部の断熱材として、また保温・保冷材の代わりとなり、コンパクトかつ省エネを実現します(特に高温域の断熱材として使用可能です)。