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―Z世代が問う― タイガー魔法瓶とSDGs  Vol. 2 サーキュラーエコノミー実現までの道のり

タイガー魔法瓶は、Vol.1[タイガー魔法瓶がSDGsに取り組む理由]でもお伝えした通り、「4つの約束」を掲げ、環境・人権・健康に配慮したものづくりを長年行ってきました。その中でも特に現在、力を入れているのが、環境保護のためのリサイクルです。「4つの約束」に基づく具体的なアクションとして、使用済みステンレス製ボトルの回収と再資源化に取り組んでいます。サーキュラーエコノミーの実現に向けて、家電製品で10年以上前から自社での再資源化の方法を模索し続けてきたタイガー。今回、使用済みステンレス製ボトルの自社での再資源化への挑戦に踏み切りましたが、そこには多くの人のつながりがありました。

<プロフィール>

南村 紀史 真空断熱ボトル ブランドマネージャー
2001年入社。品質管理チーム、商品開発チームを経て現在商品企画第1チームに所属し、真空断熱ボトルのブランドマネージャーを務める。
「4つの約束」視点でボトルプロダクトを進化させると共に、関連したサステナブルアクションの推進にも注力している。

西 一仁 TIGER BOTTLEサイト責任者
2005年入社。12年の国内営業勤務を経て現在デジタルコマースグループに所属し、TIGER BOTTLEサイトを通じてユーザーに「ソーシャルグッドな体験」を届けコミュニケーションを図ると共に、ユーザーを巻き込んだサステナブルアクション構築に取組んでいる。

人のつながりが可能にしたサーキュラーエコノミー

氏田 京都府亀岡市と使用済みステンレス製ボトルの回収と再資源化に取り組むそうですが、この活動に力をいれる理由はなんでしょうか。

参照 『サーキュラーエコノミーの実現へ 使用済みステンレス製ボトルの回収と再資源化を京都府亀岡市からスタート』

南村 我々は毎年約800万本のボトルを販売しています。これまでは、この800万本ものボトルを作って、販売して、それで終わりでした。販売した800万本のその後ろで、古いボトルがどう処理されているのかについては、正直なところ、あまり考えてきていませんでした。「4つの約束」を掲げたとき、販売するからにはしっかり責任を持って最後まで関わらなくてはいけないという思いがどんどん強まっていきました。
そんな中で、自社での再資源化にチャレンジしたいという声がモノづくり部門から上がりました。モノづくり部門のメンバーを中心にリサイクル業者などの関係先に声をかけて回ったところ、あれよあれよという間に協力者が集まってきました。
その後社内でも、部門を超えて輪が広がりました。各部門が同じフロアにあり、いつも活発に話し合いをしているのですが、新商品開発の話だけでなく「4つの約束」についても、どんどん新しいアイデアが出てくるんですよね。社内で話が広まって、賛同者が増えて、いろんなところで連携して。こうして、再資源化実現への機運が高まっていきました。

南村 今回の亀岡市との取り組みは、ステンレス製ボトル再資源化実現のための輪、つまり、「ステンレス製ボトルを軸としたサーキュラーエコノミー」を実現させるための最初の一歩です。亀岡市だけではなく、我々が回収したボトルを原材料に選別する企業や、その再資源材料を使うステンレスメーカー、樹脂メーカーといったたくさんの協力者がいて初めて、サーキュラーエコノミーの輪が出来上がったんです。

氏田 正直、ステンレス製ボトルを回収してリサイクルするって、小規模な取り組みだと思っていました。始動から実現まで、こんなにたくさんもの人の協力があったんですね。

西 どれだけ一緒に楽しめる仲間を作れるかに限ると思います。その輪を広げていくには、まずは想いを共有し、しっかりと共感していただくことが大切です。だから、あれこれと新しいことに手を出すのではなく、ステンレス製ボトルの再資源化という一見小さなものでも、それに対する思いを温め、伝えて、協力者の輪を広げていく。そうすれば、少しずつ活動の幅を広げていくことができます。この繰り返しですね。

ステンレスのリサイクル率は80%

氏田 でも、リサイクルって実際どうなんでしょう。ほんのわずかしか実際にはリサイクルされていないと聞いたことがあるのですが。

南村 ステンレスに関しては、日本のリサイクル率は80%とかなり高いんです。
一般的には、不燃物としていろいろな金属が混ざった状態で行政が回収し、リサイクル業者に渡し、リサイクル業者は、人手と設備と、手間と時間をかけて、単一の材料に分けていきます。それを各素材のメーカーが買い取って、新しい製品に使われるというのが金属リサイクルの流れです。

西 ステンレス製ボトルに使われている材料は、ステンレスと銅箔のみなので、簡単にステンレスだけを取り出すことができます。タイガー魔法瓶が自社でステンレス製ボトルだけを集めた状態でリサイクル業者に渡せば、不燃物の分別にかける労力を減らすことができますし、不純物の少ない状態でステンレスを取り出せます。このサーキュラーエコノミー(廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組み)のモデルをタイガー魔法瓶で実現し、それが社会に浸透したら、リサイクル率はもっと上がると信じています。


リサイクルには大変な労力がかかっていますが、想いを発信し行動し続けることで、社内だけでなく関係者(地方自治体・企業・団体)の方々の共感と協力を得て、今回の自社でのステンレス製ボトルの回収と再資源化への取り組みをスタートしました。「誰も何が正解かは最初からはわからないし、できると信じて進めれば全て良い方向に動くと思う」と語る西さん。タイガー社員の前向きな姿勢が、サーキュラーエコノミーを実現へと導いていくと感じたのでした。

次号では、今回のステンレスボトルリサイクル企画の最大の協力者である亀岡市のみなさんをお呼びし、『世界に誇れる環境先進都市』実現に向けた取り組みや今回の取り組みへの想いをインタビューします。


ライタープロフィール
現役大学生・氏田
国際協力学科の大学3年生。難民問題や環境問題、宗教など幅広く勉強中。現在インターンをしながらマーケティングを学んでいる。SDGsを達成し、世界から少しでも貧困をなくしたいと思っている。