おいしいごはんの炊き方
わたしたちの食生活になくてはならないお米。毎日の食事のために、常に備蓄しているというご家庭がほとんどではないでしょうか。ところでみなさん、お米の賞味期限を意識したことはありますか? お米をおいしく食べるためにはとても重要なポイントなのですが、なんと米袋には賞味期限の表記がないんです! 今回はその理由とともに、お米をおいしく味わうための豆知識をご紹介します。
お米に賞味期限や消費期限がない理由
お米に賞味期限・消費期限の表示がない理由は、お米が野菜や果物と同じ「生鮮食品」の扱いだからです。食品表示法では、生鮮食品は一部を除き「賞味期限・消費期限の表示義務なし」と規定しています。その代わり、米袋には「精米年月日」が表示され、白米となってからの時間経過が分かるようになっています。
お米をおいしく食べられる期限の目安
お米は生鮮食品である以上、野菜と同様に時間の経過とともに劣化していきます。白米の酸化は精米直後から進行し、長期間置いておくとカビや虫の発生リスクが高まります。精米後は「早めに食べる」が最善ですが、おいしく食べられる目安は、春夏は精米後2週間から1か月、秋冬にかけては1~2か月程度。また、お米は高温多湿や乾燥が苦手で、最適な温度と湿度があることも頭に入れておきましょう。
お米をおいしく食べるための豆知識(Q&A)
・未開封でもおいしく食べられる期限は変わらない?
米袋は「未開封=密閉」ではありません。米袋は重量があるため、流通や保管時に内部の空気圧で破損する恐れがあり、一部例外を除きほとんどのケースで空気抜きのために小さな穴が空けられています。未開封であってもおいしく食べられる期限にほとんど差はありません。
・真空パックで保存した場合はおいしく食べられる期限を延ばせる?
精米後の劣化は空気に触れることで進行しますので、保存方法として「真空」は理にかなっています。1年以上鮮度を維持できますが、それでも2か月を超えるとお米内部の乾燥も進みます。おいしく食べたいのであれば2か月以内の消費を心がけましょう。
・精米しなければおいしく食べられる期限は延ばせる?
玄米は白米に比べて酸化のスピードが遅く、冷蔵で半年、真空状態で1年程度おいしさを維持できます(ただし保存環境にもよります)。家庭に精米器があれば、毎日必要な分量のみ精米すれば、いつでもおいしいお米を味わうことができます。また、お米屋さんなどで少量を都度精米してもらう選択肢もあります。
・アルファ米の賞味期限はどれくらい?
「アルファ化米」とも呼ばれるアルファ米は、常温であっても、精米より長期間保存できます。お湯や水を加えるだけご飯へと変化するため調理も簡単。非常食のみならず、登山やキャンプなどアウトドアでも重宝されています。
・なぜアルファ米は賞味期限が長いの?
アルファ米は、炊飯後の急速乾燥によって美味しさを維持したままでの保存を可能にした加工米です。水分の含有量が極めて少なく、密閉して空気を遮断しているため、賞味期限を長くすることが可能となっています。
お米をおいしく食べるための炊き方
同じお米であっても、炊き方一つで味は大きく変化します。ここでは、お米のおいしい炊き方について見ていきましょう。
お米の炊き方
新米を計量カップできちんとすり切りいっぱい量ったなら、さっそく研ぎから進めていきましょう。頭に入れておきたいのは、古いお米に比べて新米は組織全体が柔らかいということ。力任せに研ぐのは禁物です。お米に傷がついてしまうと栄養成分やうまみが流出してしまいますので、特に収穫して間もないお米ならば「洗う」という感覚が丁度いいかもしれません。研ぎ汁がうっすら白く濁る程度でストップしましょう。
一般的に「新米なら炊く際の水は少なめ」と言われていますが、新米といえども最近は収穫したお米を機械乾燥しているため、たっぷり水分を含んでいるということはありません。水を減らして炊くと硬く炊き上がってしまう場合があるので、新米を炊く時は最初はいつもの水の量で炊いてみて、様子を見てから調整することがおすすめです。
【コラム】古いお米に関するあれこれ
古いお米の豆知識(Q&A)
・古米、古古米とはなに?
前年に収穫されたお米を「古米」、前々年に収穫されたお米を「古古米」と呼びます。年を経るごとに「古」を追加するルールで、5年前のお米となると「古古古古古米」と表現します。
・5年前のお米は食べられる? 食べられない(控えた方がよい)古いお米の特徴とは?
例えば、5年前の「古古古古古米」は保存状態が良ければ一概に「食べられない」と断定することはできません。しかしながら、カビや虫が発生している場合は食べないでください。また、お米は周囲の臭いが移りやすく、味に大きな影響を与えますのでこの点にもご注意を。
古いお米の炊き方
古いお米は、しっかりと手のひらを使いお米同士をすり合わせるように研いでいきましょう。古いお米特有のにおい消しが目的です。ただし、力任せだとお米が傷つく原因となります。お米同士を揉み合うように意識しましょう。「研ぎ汁は透明になるまで」とされていますが、多少の濁りは問題ありません。
続いて炊く上での注意点。水は1割程度多めを心がけましょう。時間の経過とともにお米から水分が失われていくためで、炊き上がりのパサつきを抑えるのが目的です。ちょっとしたテクニックとしては、サラダ油小さじ半分を加えればツヤ出し、お酒大さじ1~2杯でにおい消しとツヤ出しの効果が期待できます。ハチミツを加えたりもち米をブレンドしたりと、「新米の味わい」に近づけるテクニックも存在します。いろいろ試してみて、自身の好みを見つけるのも楽しいですよ。
保管方法を押さえて楽しいごはんライフを!
お米の賞味期限やおいしい食べ方を知ることで、間違いなく毎日の「ごはんライフ」の幅は広がります。同時に、「お米の保管方法」や「炊き上がったご飯の保存方法」について押さえておくことで、よりおいしくごはんを食べられます。「<認定5ツ星 お米マイスターが解説!> お米の保存は冷蔵庫がおすすめ」の記事もあわせてチェックしてみてくださいね。
教えてくださったのは…
玄米屋ウエトミ
上田 那未さん
京都府八幡市で無農薬玄米を取り扱う「玄米屋ウエトミ」店主。米・食味鑑定士をはじめ、認定5ツ星お米マイスター、水田環境鑑定士、雑穀エキスパートなど、様々な資格を所有。