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真空断熱ボトルを開発するタイガー魔法瓶が、
国際宇宙ステーションを舞台にした
スペースミッションに挑む!
宇宙という存在が、人類にとってこれまで以上に大きな意味を有した時代は過去に数多くないかも知れない。なぜなら地球上で再現不可能な環境において、画期的な実験を行うことが可能となったからである。しかしその恩恵を享受するには、実験サンプルを完全な状態で地球に帰還させることが絶対条件だ。そこで大きな役割を果たしたのがタイガー魔法瓶である。
2018年11月、宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機の大気圏再突入という機会を利用して、国際宇宙ステーション(ISS)から実験試料を地球へと回収する技術実証が行われた。
JAXAによるこの日本初となるチャレンジのなか、「こうのとり」が運ぶ小型回収カプセル内に搭載された真空二重断熱容器の開発を担当したのがタイガー魔法瓶である。タイガー魔法瓶は創業100年近い歴史で培った知見と最高峰の保冷技術を活用し、貴重な宇宙実験サンプルを格納する真空断熱容器を開発したのである。
地球帰還までの間の断熱性能、そして海上着水時の40Gにも達する衝撃に耐える強度など、過酷なまでの技術要件をクリアしたこの真空断熱容器は、その後、回収カプセルに搭載され、実験試料とともに無事地球へと帰還した。
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ケネディ宇宙センター
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ランデブー
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国際宇宙ステーション
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ISSから離脱
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ジョンソン宇宙センター
そして2021年初夏。タイガー魔法瓶の挑戦は第2のフェーズを迎える。JAXAの宇宙実験サンプルの回収用として、JAXA、(株)テクノソルバと共に新たに開発した真空二重断熱容器が、SpaceXの宇宙船「ドラゴン22号機」に搭載されて宇宙へ向かうのだ。再び、宇宙〜地上間の輸送中の長期温度維持という重要な役割を担うのである。
この最新のプロジェクトで課されたミッションは次のとおり。
——ISSの日本実験棟「きぼう」で実施されるタンパク質結晶生成実験で結晶化したタンパク質サンプルを地上へと回収する。
そしてこの打ち上げに対して
などの新たな条件を満たす必要があったのである。
JAXAの宇宙実験の可用性を飛躍的に高めるこのプロジェクト。温度調整機器を使わずに、軽量・ダウンサイズを実現した真空二重断熱容器に格納されてISSから地球に帰還する実験サンプルは、創薬など医療の発展に寄与していくという人類にとって極めて有用なものであり、宇宙ファンならずともこのミッションから目が離せない。
1923年に創業したタイガー魔法瓶の歴史は、熱制御テクノロジーのたゆまざる進化へと一心に取り組んできた歴史といっても過言ではありません。過去の成功、前例に囚われないスタートアップの精神で、業界をリードする技術革新を続けてきたのです。
2018年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「こうのとり」7号機において実施した小型回収カプセルミッションへの貢献がその最たる例といえるでしょう。タイガー魔法瓶は、国際宇宙ステーション(ISS)で実施された実験サンプルを地上に回収するために格納する真空二重断熱容器をJAXA、株式会社テクノソルバとともに開発したのです。
小型回収カプセル内では、電力に頼ることなく保冷する必要がありました。そこでタイガー魔法瓶は、100年近くにわたって研磨を続けてきた魔法瓶技術を集結し、特別仕様の真空二重断熱容器をゼロから開発。この容器に実験サンプルを保冷剤とともに格納することで要求温度に長期間維持することを可能としました。この技術により、内部の宇宙実験サンプルはダメージを受けることなく、無事地上に回収されたのです。
これは、それまで日本が有していなかったISSからの独自の物資回収が実現された歴史的瞬間でした。
「容器内の実験サンプルを4日間以上にわたって4℃±2℃に維持する」「カプセルが着水時に受ける40Gの衝撃に耐える」など過酷な技術的要件をクリアする開発は、当然のことながらチャレンジの連続でした。宇宙での使用というこれまで経験のないタスクにタイガー魔法瓶の開発者も試行錯誤を重ねたことはいうまでもありません。
JAXAと共に進めたこのミッションは成功裏に終わり、真空断熱容器の宇宙分野での活用は、新たなチャプターへと進んでいます。
そして私たちの挑戦は、宇宙産業に止まりません。シビアな温度管理が要求される検体・試薬などの医療輸送、ハイブリッド車のエンジン冷却水蓄熱システム、南極などの過酷な気象条件でも性能劣化せず高断熱住宅を実現する次世代建材の開発など、時代をリードする最先端産業分野においても、この真空断熱技術の応用が大いに期待されているのです。