真空断熱技術について
タイガー魔法瓶の100年の歴史で培った「真空断熱技術」を提供し、高い断熱性能で、優れた保温保冷パッケージ、省エネや使い勝手の向上をサポート。
医療や輸送、宇宙産業など様々な産業分野の発展に貢献します。
真空断熱技術とは?
熱を逃がさない技術
真空断熱技術とは「空間の空気を抜いて真空状態にし、断熱効果を⾼める」という技術です。
例えば、「魔法瓶(真空断熱ボトル)」がその一例です。
魔法瓶容器では二重空間を真空状態にすることで、非常に高い断熱性能を発揮します。
これにより、保温保冷効果を長時間保ち、省エネ等に貢献します。

熱はどのように伝わるのか?
私たちの身の回りで温度が変化するのは、主に「伝導、対流、輻射(放射)」の熱移動の3原則が関係しています。
それぞれの現象について説明します。
01
伝導

伝導は熱が物質を通じて熱が伝わる現象です。物体の一部を加熱すると、加熱部分の分子の運動が激しくなります。
これらの分子が衝突する時、エネルギーの低い分子はエネルギーの高い分子からエネルギーを獲得します。つまりエネルギーの高い分子集団からエネルギーの低い分子集団へと熱が伝達されます。この現象が「熱伝導」で、物体がどれ位よく熱を伝導するかを表す数値を「熱伝導率」と呼びます。
例えば、金属のスプーンを熱いスープに入れると、スプーンの持ち手まで熱くなるのは、熱伝導が原因です。

02
対流

対流は、熱い空気や液体が上に行き、冷たい空気や液体が下に行く現象です。
空気が加熱されると、その部分が膨張し密度が低くなります。周囲よりも密度が低くなった部分は浮力の作用により浮き上がります。加熱されて浮き上がった部分は熱伝導によって熱を周囲に伝えます。
例えば、部屋を暖房する時、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まります。部屋の中を扇風機などで強制循環してやれば部屋全体を効率よく暖めることができます。

03
輻射(放射)

輻射(放射)は、熱エネルギーが電磁輻射(放射)によって伝達される現象です。
簡単に言えば「物と物の間で直接触れずに熱が伝わる現象」です。輻射(放射)によって伝わった熱を「輻射(放射)熱」と呼びます。宇宙では真空ですが、太陽の熱は地球にとどきます。これは熱が赤外線などの電磁波によって伝わるからです。地球は、太陽からの輻射(放射)によって暖められて生命活動や気象現象を起こしています。
輻射(放射)は、真空の空間を媒体にしても熱エネルギーを伝えます。例えば、太陽の熱が赤外線などの電磁波によって地球を暖めるのも輻射(放射)熱の一例です。

3つの熱移動を抑制する
真空断熱技術
真空には空気や他の気体がほとんど存在しません。そのため、「伝導」、「対流」を効果的に抑制します。
さらに内面には鏡面加工を施し、真空層には金属箔を挟み込むことで「輻射(放射)」を反射させ、温度の変化を抑制し、高い断熱効果を発揮します。

01
伝導の抑制
真空の場合、空気の分子が存在しないので熱伝導はありません。
JISで定義された真空は「大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態」なので、微量に分子は存在していますが、熱伝導はほとんどゼロとなります。
02
対流の抑制
従って、空気のない真空では対流は起こらない。対流現象は浮力によって起こる。したがって、気体が存在しない真空では対流は起こらない。
03
輻射(放射)の抑制
輻射(放射)は、真空の空間を媒体にしても熱エネルギーを伝えます。
太陽の熱が地球に届くように、輻射(放射)は真空を通しても熱エネルギーは伝わります。そのため魔法瓶では、内面に鏡面加工を施したり、真空層に銅箔を挟み込むなどをして熱放射を反射させて熱エネルギーを内部に保つようにしています。
真空断熱技術のベネフィット
真空断熱技術は、様々な分野で⾰新をもたらす可能性を秘めた技術です。
そのベネフィットは、省エネ効果や環境への貢献だけにとどまりません。

省エネ効果
真空断熱技術は優れた断熱性能を発揮します。これにより、保温・保冷効果が高まり、エネルギー効率が向上。エネルギー消費を大幅に削減し、コストダウンに貢献します。

カーボンニュートラル
への貢献
エネルギー消費を減らすことにより、CO2排出量を削減。カーボンニュートラルに貢献します。

温度管理の
精度向上
温度変化を最小限に抑えるため、精密な温度管理が必要な分野での利用にも適しています。これにより、製品の品質や性能が向上します。

幅広い応用
真空断熱技術は、家電製品、建築、輸送、医療、宇宙開発など、様々な分野で応⽤されています。